「思いがけない病気をして、今年は医療費たくさんかかっちゃったな。そうだ!医療費控除しよう!」と思いついちゃうこと、ありますよね。
私も今年、そんなことを思いついちゃいました。そして気楽に「夫の名義で確定申告しちゃおう」と思ったのですが、手を付けてみると面倒くさい問題が色々と出てきました。
会社員の医療費控除は、副業収入があったり、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用していると色々と面倒なので注意が必要です!
会社員の医療費控除
会社員の場合、医療費をたくさん支払ったら確定申告によって所得税の医療費控除を受けることが出来ます。
※詳しくはこちら↓
給与収入だけの会社員の場合は、何も悩むことはなく簡単に医療費控除の確定申告をすることが出来ます。
でも、副業収入があったり、ふるさと納税による所得控除を受ける場合には気をつけなくてはいけない(まるで罠のような?)注意点があります。
医療費控除には罠が!
「簡単、簡単、ささっと医療費控除を確定申告しちゃおう」と思った私。でもちょっと待てよ・・。今年は夫がふるさと納税ワンストップ特例制度を利用しました。そして副業収入もあったようです。
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「給与以外の収入がある場合は、何か申告が必要じゃなかったっけ?」「ふるさと納税ワンストップ特例制度って、確定申告しちゃいけないんじゃなかったっけ?」と疑問が色々とわいてきたので、調べてみました。
すると、医療費控除をする時に気をつけなくてはいけない罠(?)のような注意点があることが分かりました。
医療費控除の罠
医療費控除を確定申告するなら、20万円以下の副業収入の申告も必要。そのため、本来は払わなくても良かったはずの所得税が発生する場合がある。
ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請は、医療費控除を申請すると無効になる。
医療費控除によって所得税・住民税が減額されると、ふるさと納税の控除限度額が減ってしまうことがある。
以下に詳しくまとめます。
①医療費控除するなら20万円以下の副業収入の申告も必要
会社員の場合、副業収入があっても20万円以下であれば税務署への申告は不要です。そのため通常は、副業収入があっても20万円以下であれば所得税は掛かりません。
※ただし、20万円以下であっても住民税の申告は必要です。(住民税の申告なんて、ほとんどの人が気づいてないと思うのですが・・どうなんでしょうね?)
ところが、医療費控除で確定申告するときには同時に20万円以下の副業収入も申告しなくてはなりません。
【国税庁】副収入などがある方の確定申告には、以下のように記載されています。
年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の方は、確定申告は不要です。
医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などの適用を受ける場合は、20万円以下の所得も含めて確定申告を行います。
分かりづらいですよね。所得税・住民税の申告について、以下(↓)で2つの表にまとめました。
所得税・住民税申告の要・不要
所得税・住民税の申告について、2つの表にまとめました。
副業の所得 (経費を引いた金額) |
所得税 | 住民税 |
1円以上 | 申告不要 | 役所または市税事務所へ申告が必要 |
20万円以下 | ||
20万円超 | 確定申告が必要 |
不要 (確定申告により自動的に申告される) |
副業の所得 (経費を引いた金額) |
所得税 | 住民税 |
1円以上 | 確定申告が必要 |
不要 (確定申告により自動的に申告される) |
20万円以下 | ||
20万円超 |
副業の所得は経費を引いた金額です。副業の売り上げが10万円あっても、経費が10万円以上掛かっていれば副業の所得は0円なので申告は不要です。
副業収入が多い場合は、所得税の課税に注意!
「副業所得がギリギリ20万円以下だった」という場合は、本来、副業分の所得税を支払う必要はありません。
ところが、医療費控除を受けるために確定申告をするなら同時に副業所得を申告しなければならず、所得税が追加で課せられます。
それならもっと所得税を取り立ててやろう!
ヒヒヒヒ
気づいていない人から税金を徴収する・・まるで悪徳お代官様のようですね。
医療費控除を申請しない方が良い場合もある
例えば、年収400万円の会社員の場合、副業収入20万円に対して課せられる所得税は約1万円です。
医療費控除で還付される金額が5千円だった場合は、所得税の追加課税10,000円 > 医療費控除の還付金5,000円となって損をしてしまいます。
そのような場合には、医療費控除を申請するのは止めておきましょう!
②ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請は、医療費控除を申請すると無効に
自己負担2,000円で、各地の名産品を送ってもらうことが出来る「ふるさと納税」。その仕組みには問題点もありますが、楽しみながら寄付が出来る人気の制度です。
※詳しくはこちら↓
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは
ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても寄付金控除を受けられる制度です。
ふるさと納税をした自治体に申請書を送るだけで、住民税から寄付金控除が受けられます。
確定申告をしなくても良いので便利な「ふるさと納税ワンストップ特例制度」ですが、利用するためには以下の条件があります。
確定申告をする必要のない、給与所得者であること
1年間の寄付先が5自治体内であること
申し込みの度に自治体(同一自治体も含む)へ申請書を郵送すること
確定申告しなくて良いからお得!
確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請する場合は、医療費控除と同様に、副業収入があればその所得を申告しなくてはなりません。
ということは、ふるさと納税の控除のために確定申告をすると、本来は支払わなくて良かった所得税(20万円以下の副業収入に対して)を請求されるケースがあります。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使えば確定申告をせずに控除が受けられるので、20万円以下の副業収入がある人にはお勧めです。
ふるさと納税ワンストップ特例制度は、確定申告で無効に
副業収入がある人にお勧めの「ふるさと納税ワンストップ特例制度」ですが、医療費控除と併用するときには注意が必要です。
もともと「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用できるのは、確定申告をする必要のない、給与所得者であることが条件です。
確定申告を行った時点で、申請したすべての「ふるさと納税ワンストップ特例制度」は自動的に無効になります。
そのため医療費控除による確定申告を行う場合には、同時に「ふるさと納税」による寄付金控除を申請する必要があります。
③医療費控除でふるさと納税の控除限度額が減ってしまうことがある
ふるさと納税で受けられる控除には、限度額があります。
限度額は、以下のように定められています。
※ 掲載している表は、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースとなります。年金収入のみの方や事業者の方、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けている給与所得者の方の控除額上限は表とは異なりますのでご注意ください。
※ 社会保険料控除額について、給与収入の15%と仮定しています。
※ 掲載している表はあくまで目安です。具体的な計算はお住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお問い合わせください。
※1 「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
※2「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。
※4 中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
例えば、「夫婦子1人(小学生)」は、「夫婦」と同額になります。また、「夫婦子2人(高校生と中学生)」は、「夫婦子1人(高校生)」と同額になります。
引用:【総務省】ふるさと納税ポータルサイトより
医療費控除をすると、所得税と住民税が減ります。するとその分、ふるさと納税の控除限度額が減るので、寄付控除額が減って損してしまうことがあります。
上の表は、総務省のポータルサイトに掲載されている表ですが、住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケースと記載されています。
また、掲載している表はあくまで目安です。具体的な計算はお住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお問い合わせください。とも記載されています。
このポータルサイトでは残念ながら、医療費控除がふるさと納税の限度額にどう影響するのか、さっぱり私には分かりませんでした。
市区町村に問い合わせてみよう
せっかくふるさと納税をしたのに、医療費控除の確定申告をしたせいで限度額が減り、自己負担額が増えてしまっては残念ですよね。
この計算は複雑すぎてちょっと私には理解できないので、もし医療費控除との関係が気になる場合は、市区町村に問い合わせてみるのが良いと思います。
複雑すぎる、医療費控除や各種控除の関係
給与所得しかない会社員なら、医療費控除の確定申告は簡単です。
でも今は簡単に副業収入を得ることのできる時代。ちょっとした副業収入を得ている会社員は多いと思います。
また、医療費控除だけではなくふるさと納税の寄付金控除や、iDeCoの控除や住宅ローン控除など、多様な控除を併用している人も多いと思います。
それぞれの控除の関係が複雑で、もはや私には理解できません。役所の人はちゃんと理解しているのかな?と不思議に思うくらいです。
我が家の場合・・医療費控除は止めました
我が家の場合、今年は医療費控除を確定申告すると1万3,000円くらいの還付を受けることが出来ます。
でも夫には副収入があり、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用していました。
夫のブログからの副業収入は8,000円でしたが、サーバー代が1万円以上掛かっていて赤字のため、副業収入はゼロでした。
ふるさと納税の寄付金控除限度額については、よく分かりませんでした。(面倒くさすぎて途中で調べるのを止めました)
色々調べていくうちに以下の結論に達したので、私は今年の医療費控除を申請することを止めました。
医療費控除の還付 1万3,000円 < 確定申告・調べる手間
せっかく夫が時間をかけて調べて申請した「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が無効になってしまうことや、再び調べて確定申告をするのに掛かる時間と手間。仕事が忙しい夫に、家でも税金の話をしなくてはいけない憂鬱さ。
そういう代償を考えると、1万3,000円は捨ててもいいや。という結論になりました。
毎年のように改変される、税金の制度。どんどん複雑化して一般人には理解しづらい制度になってきています。
もっと簡素化・分かりやすくする方向に改変してくれないものでしょうか。
ヒヒヒヒ